【第8回】原材料表示の「順番」には意味がある
前回は、原材料表示の基本的な読み方についてお話ししました。「原材料は、重量の多い順に記載されている」というルール、覚えていらっしゃいますか。今日は、この「順番」というポイントを、もう少し深く掘り下げてみたいと思います。
健康茶のパッケージで、こんな経験はありませんか
健康茶やブレンド茶を選ぶとき、パッケージに書かれた「〇〇配合」「〇種類の素材」という言葉に、心を惹かれたことはありませんか。
「10種類も入っているなんて、贅沢だな」 「たくさんの素材が入っているほうが、体に良さそうだな」
私自身も、以前はそう感じていました。パッケージに書かれた素材の数を数えて、多ければ多いほど得をした気分になっていたことを、今でも覚えています。けれど、原材料表示の「順番」というルールを知ってから、健康茶のパッケージを見る目が、大きく変わりました。今日は、その視点を、みなさんにも共有したいと思います。
「順番」が教えてくれる、量のヒント
前回お話しした通り、原材料表示は、重量の割合が多いものから順に記載されます。これは、健康茶やブレンド茶にもあてはまるルールです。
つまり、原材料表示の最初のほうに書かれている素材ほど、その商品の中で多く使われており、後ろのほうに書かれている素材ほど、使用量が少ないということになります。
たとえば、ある健康茶の原材料表示が、
「大麦、はと麦、玄米、どくだみ、桑の葉、明日葉、…」
というように10種類以上並んでいたとします。この場合、最初に書かれている「大麦」がいちばん多く、最後のほうに書かれている素材は、ごく少量しか使われていない可能性がある、ということが読み取れます。
これは、法律違反でも、何か悪いことをしているわけでもありません。ブレンド茶の設計として、ベースとなる素材をしっかり使い、風味や香りづけとして少量の素材を加える、というのは、とても一般的な作り方のひとつです。
よくある誤解:「複数素材が書かれている」と「同量配合されている」は違う
ここで、今日いちばんお伝えしたい大切なポイントがあります。
「原材料表示に複数の素材名が書かれていること」と、「それぞれの素材が同じ量配合されていること」は、まったく別の話です。
「10種類配合!」というキャッチコピーを見ると、なんとなく、10種類がバランスよく、均等に近い量で入っているようなイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。けれど、原材料表示の重量順というルールを踏まえると、実際には、1〜2種類の素材が大部分を占め、残りの多くの素材はごく少量ずつ、風味づけ程度に使われている、というケースも十分にあり得ます。
もちろん、これは「多くの素材を少量ずつ使っている商品が悪い」という意味ではありません。それぞれの商品には、それぞれの設計思想があります。ただ、「〇種類配合」という言葉だけを見て、すべての素材が均等に、たっぷり入っていると思い込んでしまうと、実際の商品の中身とイメージにズレが生じてしまう、ということをお伝えしたいのです。
具体的に、表示を読み解いてみましょう
言葉だけで説明してもイメージしづらいと思いますので、簡単な例で考えてみましょう。
かりに、ある健康茶の原材料表示が、
「はと麦、大麦、玄米、緑茶、どくだみ、明日葉、桑の葉、びわの葉、柿の葉、よもぎ」
の10種類だったとします。この場合、最初の「はと麦」が最も多く、後半にいくにつれて量が少なくなっていきます。仮に、はと麦が全体の40%を占め、大麦が25%、玄米が15%だとすると、残り7種類を合計しても20%程度、つまり1種類あたり平均すると3%に満たないという計算も、十分にあり得るのです。
もちろん、これはあくまで一例であり、実際の配合比率は商品によってさまざまです。大切なのは、「10種類」という数字だけでなく、「その中の、どれが主役で、どれが脇役なのか」を、原材料表示から想像してみる習慣を持つことだと思います。
なぜこの視点が大切なのか
では、なぜこの「順番」を知ることが大切なのでしょうか。
それは、健康茶を選ぶ目的と関係しています。多くの方は、「特定の素材の風味や特徴を、しっかり感じたい」「その素材を、ある程度まとまった量で摂りたい」という思いを持って、健康茶を選んでいるのではないでしょうか。
もし、目当ての素材が原材料表示の後ろのほうに書かれている場合、その商品の中では、ごく少量しか使われていない可能性があります。パッケージの目立つ場所に大きく書かれている素材名と、実際の配合量が、必ずしも一致しているとは限らない、ということを知っておくことは、納得のいく商品選びのために、とても役立つ視点だと思います。
私が「順番」に注目するようになったきっかけ
漢方養生や薬膳を学ぶ中で、私は「配合のバランス」という考え方に、何度も触れてきました。漢方の考え方では、それぞれの生薬や食材には役割があり、その組み合わせ方や分量のバランスによって、全体としての意味合いが変わってくるとされています。
この考え方を知ってから、私は健康茶を選ぶときにも、「何種類入っているか」だけでなく、「それぞれが、どのような考えで、どれくらいの分量で組み合わされているか」に、自然と目が向くようになりました。原材料表示の順番は、その手がかりを与えてくれる、とても大切な情報のひとつなのです。
数字やラベルの派手さに気を取られるのではなく、静かに、けれど確実に情報を伝えてくれる原材料表示。この小さな欄と丁寧に向き合う習慣こそが、「知ったうえで選ぶ」という姿勢の、いちばんの土台になると私は感じています。
今日からできる、小さな一歩
- お手元の健康茶やブレンド茶があれば、原材料表示の「順番」を確認してみる
- パッケージに書かれた「注目素材」が、表示の何番目に書かれているか探してみる
- 「〇種類配合」という言葉を見たときに、「それぞれ、どれくらいの量なのだろう」と考えてみる
香詩乃が「順番」にもこだわる理由
この視点は、実は香詩乃のお茶づくりにも、深く関わっています。香詩乃のクリアバランス茶は、明日葉、ドクダミ、イチョウ葉、ゴボウ、ハトムギという5つの素材を使っていますが、私はこの5つの素材を、「均等に近いバランスで配合する」という考え方を大切にしています。
なぜそのような設計にしているのか。この理由については、次回以降のテーマで、じっくりとお話ししていきたいと思います。今日は、「原材料表示の順番には、それだけの情報が詰まっている」ということを、ぜひ覚えておいていただければと思います。
おわりに
今日は、原材料表示の「順番」が持つ意味についてお話ししました。「複数の素材が書かれていること」と「それぞれが同じ量入っていること」は、同じではありません。この違いを知っているだけで、健康茶やブレンド茶の選び方は、きっと変わっていくはずです。
次回は「『〇種類配合!』だけで選ばないで」というテーマで、この視点をさらに深めていきたいと思います。
【参考資料・出典】
- 消費者庁「食品表示基準」(原材料名の表示方法に関する規定、重量順表示のルール)
※本記事中の配合比率の例は、あくまで理解のための仮の数値であり、特定の商品を指すものではありません。
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