【第7回】原材料表示、ちゃんと見ていますか?

前回は、「無添加」という表示のルールについてお話ししました。今日は、その土台となる「原材料表示」そのものについて、あらためて見ていきたいと思います。

正直に聞かせてください

買い物のとき、パッケージ裏側の原材料表示欄を、どのくらい見ていますか。

「値段だけ見て、すぐカゴに入れてしまう」 「原材料名の欄はあることすら意識していない」 「なんとなく見てはいるけれど、正直よく分からない」

こう感じる方は、決して少なくないと思います。原材料表示は、実は法律によって細かくルールが定められた、とても情報量の多い欄です。けれど、その読み方を知らないままだと、せっかくの情報も、ただの小さな文字の羅列にしか見えません。パッケージの表側には、大きく魅力的なキャッチコピーが並んでいることが多いのに対して、裏側の原材料表示欄は、小さな文字がぎっしりと並んでいるだけで、つい読む気力が失われてしまう、という方も多いのではないでしょうか。

今日は、この原材料表示の「基本ルール」を、できるだけ分かりやすく整理していきたいと思います。

原材料表示には、明確なルールがある

食品表示法にもとづく食品表示基準では、加工食品の原材料表示について、次のような基本ルールが定められています。

1. 原材料と添加物は、明確に区分して表示する

食品添加物とそれ以外の原材料は、はっきり分けて記載することがルールになっています。区分の方法としては、原材料名欄の中でスラッシュ(/)や改行で区切る方法や、「添加物」という別の欄を設ける方法があります。

2. それぞれの区分の中で、重量の割合が多い順に記載する

添加物以外の原材料は、重量の割合が多いものから順に並べて表示します。そして添加物についても、同じように重量の多い順に、別グループとして並べます。つまり、原材料表示の一番はじめに書かれているものが、その食品の中でいちばん多く使われている原材料だということになります。

3. 添加物は、原則として「物質名」で表示する

使用されている添加物は、基本的にはその物質名で表示することになっています。ただし、一部の添加物は「簡略名」「類別名」といった、広く使われている名称での表示が認められている場合もあります。また、甘味料・着色料・保存料・酸化防止剤・発色剤など、消費者にとって影響の大きい8つの用途については、物質名と一緒に「用途名」も併記することがルールになっています。「甘味料(ステビア)」「保存料(ソルビン酸K)」のような表示を見たことがある方も多いのではないでしょうか。

4. 原材料が複数の材料からできている場合(複合原材料)の表示

たとえば「マヨネーズ(食用植物油脂、全卵、醸造酢、食塩)」のように、それ自体が複数の材料からできている原材料(複合原材料)を使う場合には、括弧の中にその内訳を重量順に表示するというルールもあります。これによって、パッケージには書かれていないと思っていた原材料が、実は括弧の中に隠れていた、ということもあります。原材料表示を見るときは、括弧の中まで目を通すことも大切なポイントです。

よくある誤解:「原材料が少ない=安全、多い=危険」ではない

原材料表示を見るとき、多くの方が抱きやすい誤解のひとつが、「原材料の数が少ないほど安全で、多いほど危険」という考え方です。

けれど、これは必ずしも正しくありません。原材料の数が多くても、それぞれが明確な目的を持って使われていれば、それは丁寧に設計された商品である可能性があります。逆に、原材料が少なくても、それが体にとって望ましいとは限りません。

大切なのは「数」ではなく、「何が、どのような順番で、どれくらいの量で入っているか」を読み取ることです。これは、前回お話しした「無添加」の話とも共通する視点です。表示を「怖がるための道具」ではなく、「自分で判断するための道具」として使えるようになると、買い物の時間そのものが、少し違ったものに感じられるようになるかもしれません。

「重量順」というルールが教えてくれること

原材料表示が「重量の多い順」に書かれているという事実は、実はとても多くの情報を教えてくれます。

たとえば、ある飲料の原材料表示に「水、砂糖、果汁、香料」と書かれていたとします。この場合、いちばん多いのは水、次に砂糖、そして果汁は3番目、香料はごく少量、という構成が読み取れます。「果汁使用」と大きくパッケージに書かれていても、実際の果汁の割合は、想像していたより少ないかもしれません。

このように、原材料表示の「順番」を意識するだけで、パッケージの見た目や謳い文句だけでは分からない、商品の実際の構成が見えてくるのです。

私自身がこの表示ルールを知って変わったこと

正直に言うと、私自身も以前は、原材料表示の順番にルールがあることを、きちんと理解していませんでした。学び始めてから、「なるほど、この順番には意味があったのか」と、目からうろこが落ちるような感覚があったことを覚えています。

それ以来、買い物のときに原材料表示を確認する時間が、自然と増えました。最初は少し面倒に感じることもありましたが、慣れてくると、パッケージを見ただけで、だいたいの構成が想像できるようになっていきます。これは、特別な知識というより、「見方を知っているかどうか」の違いだけなのだと思います。

家族の食卓に並ぶものを選ぶときも、この習慣が役に立っています。忙しい毎日の中で、すべての商品を細かく調べる時間はありません。それでも、原材料表示の「最初の数個」だけをさっと確認するという習慣であれば、無理なく続けられます。完璧を目指すのではなく、できる範囲で続けられる形を見つけることが、長く続けるコツだと感じています。

今日からできる、小さな一歩

  • 今日の買い物で、ひとつだけ商品を手に取り、原材料表示欄を最初から最後まで読んでみる
  • 「原材料」と「添加物」がどこで区切られているか、探してみる
  • いちばん最初に書かれている原材料が何かを確認してみる

これだけでも、今までとは違う視点で商品を見られるようになるはずです。

香詩乃が原材料表示で大切にしていること

香詩乃のお茶は、明日葉、ドクダミ、イチョウ葉、ゴボウ、ハトムギという5つの素材を中心に作られています。原材料表示を見ていただいたときに、それぞれの素材がどのような考えで組み合わされているのかを、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと考えています。

次回のテーマにもつながりますが、実はこの「表示の順番」こそが、香詩乃のお茶づくりにおける、ひとつの大切なこだわりのポイントでもあります。

おわりに

今日は、原材料表示の基本的な読み方についてお話ししました。「重量の多い順に並んでいる」という、たったひとつのルールを知っているだけで、パッケージから読み取れる情報量は大きく変わります。

次回は「原材料表示の『順番』には意味がある」というテーマで、この視点をさらに掘り下げていきたいと思います。


【参考資料・出典】


  • 消費者庁「食品表示基準」(原材料名の表示方法に関する規定)
  • 消費者庁「食品表示の内容を正しく理解するための食品添加物表示に関するマメ知識」

※表示ルールは法改正等により変更される場合があります。最新の情報は消費者庁の公式サイトでご確認ください。




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