【第5回】アトピーを経験した私が食生活を見直した理由
これまで4回にわたって、添加物や食品表示について、できるだけ客観的な情報を中心にお話ししてきました。今日は少し視点を変えて、私自身の体験についてお話ししたいと思います。
これは医学的な事実ではなく、あくまで「私の場合」の体験です。すべての方に当てはまるものではないということを、まず最初にお伝えしておきます。
皮膚と向き合い続けた日々
私は長年、アトピー性皮膚炎に悩んできました。季節の変わり目や、疲れがたまった時期になると、肌の状態が不安定になり、かゆみや乾燥に悩まされる日々が続いていました。
外から見える部分の不調は、思っている以上に心にも影響します。人と会うのが少し億劫になったり、服装の選択肢が狭まったり。当時の私は、「なぜ自分だけがこんなに肌が弱いのだろう」と、答えの出ない問いを、何度も自分に投げかけていました。
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能の低下や、体質、環境要因、生活習慣など、さまざまな要素が複雑に絡み合って起こるとされています。原因を一つに特定することが難しい症状だからこそ、当時の私は、あらゆる方向から自分の生活を見直す必要があると感じるようになりました。
「口にするもの」に目を向け始めたきっかけ
皮膚の外側からのケアだけでなく、「内側から整えるという視点も必要なのではないか」と考えるようになったのは、ある専門家の言葉がきっかけでした。
「皮膚は、体の中の状態を映す鏡のようなものです」
この言葉を聞いたとき、私は初めて、スキンケアだけでなく、自分が毎日何を食べ、何を飲んでいるかという「内側からの生活」に、あらためて目を向けるようになりました。
とはいえ、最初から確信があったわけではありません。「これを食べればすぐに良くなる」というような、単純な話ではないことも分かっていました。ただ、「今の自分にできることを、少しずつ試してみよう」という、ごく素朴な気持ちから始まった取り組みでした。
食生活を見直す中で気づいたこと
食生活を見直す中で、私がまず取り組んだのは、原材料表示を確認する習慣をつけることでした。それまでは、値段や見た目、なんとなくのイメージで選んでいた食品を、少しずつ「何が入っているか」を確認してから選ぶように変えていきました。
同時に、漢方養生や薬膳の考え方を学び始めたのも、この時期です。東洋医学の世界には、「体質」や「巡り」といった概念があり、体の内側のバランスを整えるという視点は、私にとって新しい発見の連続でした。
また、野草茶にも出会いました。明日葉やドクダミ、ハトムギといった、昔から日本で親しまれてきた素材を使ったお茶を、日々の生活に取り入れるようになったのも、この頃からです。これらの素材は、古くから日本各地で、暮らしの知恵として親しまれてきたものです。
もちろん、これらの取り組みによって、すぐに劇的な変化があったわけではありません。焦らず、気長に、自分の体と付き合っていくという姿勢を持つようになったことが、当時の私にとって、いちばん大きな変化だったように思います。
「すぐに結果が出ない」ことへの向き合い方
食生活を見直し始めた当初、私が苦しかったのは、「頑張っているのに、なかなか変化が見えない」という時期があったことです。原材料表示を確認し、飲み物を変え、生活リズムを整えても、肌の状態がすぐに安定するわけではありませんでした。
正直に言えば、「これをやって意味があるのだろうか」と、何度も投げ出しそうになったこともあります。けれど今振り返ると、変化がすぐに目に見えなかったからこそ、「結果を急がない」という感覚を、自分の中に育てることができたのかもしれないと感じています。
肌の状態は、天候や季節、その時々の体調によっても揺れ動きます。一喜一憂しすぎず、「今日もいつも通りの習慣を続けられた」ということ自体を、小さな積み重ねとして受け止められるようになったのは、この経験があったからこそだと思っています。
誤解のないようにお伝えしたいこと
ここで、はっきりとお伝えしておきたいことがあります。
私は、「この食品を食べればアトピーが治る」とか、「このお茶を飲めば肌が改善する」ということを、決してお伝えしたいわけではありません。アトピー性皮膚炎は医療機関での適切な診断と治療が基本であり、食生活の見直しは、あくまでそれを補う、日々の養生のひとつの選択肢に過ぎないと私は考えています。
もし今、肌の不調に悩んでいらっしゃる方がいれば、まずは皮膚科などの専門医にご相談いただくことを、何よりも大切にしていただきたいと思います。そのうえで、日々の生活の中でできることのひとつとして、食生活や飲み物を見直すという視点を持っていただけたら、という思いでこの記事を書いています。
よくある誤解:「体質改善」という言葉について
健康食品や漢方の世界では、「体質改善」という言葉がよく使われます。けれど、食品の効能として「体質を改善する」と断定することは、法律上も適切ではありませんし、私自身、そのような言い方はしたくないと考えています。
体質は、遺伝的な要因、環境、生活習慣など、非常に多くの要素が絡み合って形づくられるものです。特定の食品やお茶を摂取したからといって、体質そのものが変わるという単純な話ではありません。
私がお伝えしたいのは、「体質を変える」ということではなく、「毎日の生活習慣の中に、自分が納得できる選択肢を、少しずつ増やしていく」という考え方です。この違いを、丁寧にお伝えしたいと思っています。
今日からできる、小さな一歩
もし今、肌や体調に不安を感じている方がいらっしゃれば、次のようなことから始めてみるのもひとつの方法かもしれません。
- まずは専門医に相談し、適切なケアの方針を確認する
- そのうえで、自分の毎日の食生活を、少しだけ振り返ってみる
- 飲み物のひとつを、原材料がシンプルなものに変えてみる
- すぐに結果を求めず、気長に自分の体と付き合うという姿勢を持つ
香詩乃のお茶づくりの原点
この経験があったからこそ、私は漢方養生指導士、和漢薬膳師、メディカルハーブカウンセラーといった資格を取得し、香詩乃という活動を始めることになりました。
香詩乃のクリアバランス茶に使われている明日葉、ドクダミ、イチョウ葉、ゴボウ、ハトムギは、私自身が生活の中で親しんできた素材です。「毎日飲むものだからこそ、自分が納得できる原材料でありたい」という思いは、この経験から生まれた、私にとって譲れない考え方です。
おわりに
今日は、私自身のアトピーの経験と、そこから食生活を見直すようになった経緯についてお話ししました。繰り返しになりますが、これは私個人の体験であり、医学的な効果を保証するものではありません。
それでも、この経験があったからこそ、私は「毎日口にするものを、丁寧に選びたい」と、心から思うようになりました。この思いが、今の香詩乃の活動の、いちばんの原点になっています。
次回は「『無添加』と書いてあれば安心?表示の見方」というテーマで、再び原材料表示の話に戻り、もう少し具体的な見方についてお話ししていきます。
【参考資料・出典】
- 日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」(皮膚バリア機能・体質・環境要因等の位置づけについて)
- 消費者庁「健康食品に関する景品表示法上の考え方」(体質改善等の表現に関する留意点)
※本記事における体験談は、筆者個人の経験に基づくものであり、すべての方に当てはまるものではありません。症状にお悩みの方は、医療機関にご相談ください。
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