【第4回】毎日摂るものだからこそ、添加物を考えたい理由
前回は、食品添加物がなぜ使われているのか、その理由と役割についてお話ししました。「余計なもの」ではなく、それぞれに意味があるということが、少しずつ見えてきたのではないかと思います。
今日は、そこからもう一歩進んで、「毎日摂るものだからこそ」というところに焦点を当ててみたいと思います。
「1回なら平気」は、本当にそのとおり
添加物の話をすると、よく「そんなに気にしなくても、1回や2回摂ったくらいで健康に影響はないでしょう」という声を耳にします。これは、実はそのとおりだと私も思います。
食品添加物の使用基準は、ADI(一日摂取許容量)を大きく下回るように設定されており、厚生労働省や消費者庁が実施しているマーケットバスケット方式による摂取量調査でも、実際の摂取量はADIを大幅に下回っていることが確認されています。ですから、「今日食べたあのお菓子に添加物が入っていた」ということだけで、過度に心配する必要はありません。
問題は、「1回」ではなく、「毎日、何十年も」という視点に変わったときに、初めて見えてくるものだと私は考えています。
「毎日」という視点が変わると、見え方が変わる
たとえば、コンビニのお弁当、加工されたお惣菜、市販の飲み物やお菓子。これらを日常的に、何年、何十年と食べ続けるとしたら、どうでしょうか。
一つひとつの食品は、それぞれ基準の範囲内で作られています。けれど私たちは、複数の食品を組み合わせて、毎日食事をしています。その「積み重ね」全体を、自分自身がどう捉えるかという視点は、単発の安全性の話とは、また別の意味を持っていると思うのです。
この点について、内閣府食品安全委員会が過去にまとめた調査報告では、複数の添加物を同時に摂取した場合の複合的な影響について、現状の摂取レベルにおいては、個々の添加物として評価されている影響を超えるような顕著な事例は見出されていない、と整理されています。理論的な可能性としての検討はされているものの、現実的に問題となるケースは確認されていない、というのが現時点での科学的な見解です。
つまり、「複合摂取で必ず何か起きる」というのは言い過ぎですし、逆に「まったく検討されていない未知の領域」というのも正確ではありません。「理論的な検討はされているが、実際の健康影響として確認された事例は今のところ見当たらない」という、少し慎重な言い方が、現時点でもっとも誠実な説明だと私は思っています。
それでも、私が「毎日」にこだわる理由
科学的な安全性の仕組みを理解したうえで、それでも私が「毎日摂るものだからこそ」を考えたいと思うのには、2つの理由があります。
1つ目は、選択肢を自分の手に残しておきたいから。
すべての基準が「その時点での科学的知見」に基づいて作られている以上、将来的に知見が更新される可能性は、常にゼロではありません。実際、食品添加物の使用基準は、新しい研究データが出るたびに見直しが行われています。だからこそ、「今は問題ないとされている」という前提のうえで、それでも「自分は、必要のないものは、できる範囲で減らしておきたい」という選択肢を持っておくことに、私は意味があると感じています。
2つ目は、「毎日の習慣」が、いちばん自分でコントロールしやすい部分だから。
外食や付き合いの場面まで、すべてを厳密に管理することは現実的ではありません。けれど、毎日必ず口にする飲み物やお茶であれば、自分自身で選ぶことができます。だからこそ私は、「毎日のルーティンの中にあるもの」については、できるだけ自分が納得できる原材料を選びたいと考えています。
「積み重ね」という考え方は、添加物以外にも通じる
実はこの「1回なら平気だが、毎日の積み重ねだと意味が変わる」という考え方は、添加物に限った話ではありません。紫外線や睡眠不足、姿勢の癖なども、1日単位で見れば些細なことでも、何年も積み重なることで、体への影響として現れてくることがあります。
食生活も同じで、「今日、何を食べたか」よりも、「この1年、何を食べ続けてきたか」のほうが、体にとってはずっと大きな意味を持ちます。添加物について考えることは、こうした「積み重ねの視点」を、食生活全体に広げて考えるきっかけにもなると、私は感じています。
だからこそ、1品1品を神経質にチェックするというよりは、「毎日繰り返すものは何か」を洗い出し、その部分から少しずつ整えていく、という順番が現実的だと思います。すべてを一度に変えようとすると長続きしませんが、「毎日必ず口にするもの」に絞って向き合うのであれば、無理なく続けやすいはずです。
家族の食卓を預かる立場だからこそ
もうひとつ、多くの方が感じている感覚だと思うのですが、自分ひとりの食生活であれば、多少のことは「まあいいか」と流せても、家族、特に成長期のお子さんや高齢のご家族の食卓を預かっていると、話は少し違ってきます。
体が小さいほど、体重あたりの摂取量は相対的に多くなりますし、これから何十年も続く人生の中で、今の食習慣がベースになっていくことを考えると、「毎日のことだから」という重みは、より大きく感じられるのではないでしょうか。もちろん、これも「絶対にこうすべき」という話ではありません。ただ、家族のために食事を選ぶ立場にある方にとって、「毎日摂るもの」への意識は、自分自身のためだけでなく、大切な人のためでもあるのだと思います。
よくある誤解:「気にする人は神経質」なのか
添加物を気にすると、「そんなに神経質にならなくても」と言われることがあります。私自身も、そう言われた経験があります。
けれど、これは神経質さの問題ではなく、「限られた選択の中で、自分がどこに時間とお金をかけたいか」という、優先順位の問題だと私は捉えています。すべての食品にこだわる必要はありません。けれど、「毎日必ず飲むもの」については、少しだけ意識を向けてみる。それだけでも、長い目で見れば大きな違いになると、私は考えています。
今日からできる、小さな一歩
- 自分が「ほぼ毎日、必ず口にしているもの」を3つ挙げてみる
- その3つについてだけ、原材料表示をじっくり見てみる
- すべてを変える必要はなく、「まずひとつだけ」見直せそうなものを選んでみる
毎日のことだからこそ、無理なく続けられる範囲で、少しずつ向き合っていくことが大切だと思います。
香詩乃が「毎日の一杯」に込めていること
香詩乃のお茶は、まさに「毎日飲んでいただくこと」を前提に考えています。だからこそ、明日葉、ドクダミ、イチョウ葉、ゴボウ、ハトムギという5つの素材を、できるだけシンプルな形でお届けしたいと考えてきました。
「今日だけ」ではなく、「これから先も、ずっと続けられるもの」であること。それが、私が商品づくりで大切にしている軸のひとつです。
おわりに
今日は、「毎日摂るものだからこそ」という視点についてお話ししました。1回や2回であれば気にしすぎる必要はない一方で、毎日続けることを前提にすると、見え方が少し変わってくる。この感覚を、少しでも共有できていたら嬉しく思います。
次回は「アトピーを経験した私が食生活を見直した理由」というテーマで、私自身の体験について、もう少し詳しくお話ししたいと思います。
【参考資料・出典】
- 厚生労働省「食品添加物 よくある質問(消費者向け)」
- 消費者庁「マーケットバスケット方式による食品添加物の一日摂取量調査」
- 内閣府食品安全委員会「食品添加物の複合影響に関する情報収集調査 報告書」(平成19年3月)
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