【第3回】食品添加物はなぜ使われるの?

前回まで、「無添加」という言葉の見方や、「添加物は気にしなくて大丈夫なのか」というテーマについてお話ししてきました。

今回は、少し原点に戻って、「そもそも、なぜ食品添加物は使われているのか」という基本のところを、一緒に整理してみたいと思います。

「余計なもの」だと思っていませんか

添加物という言葉を聞くと、「本来なくてもいいのに、無理に加えられているもの」というイメージを持つ方は多いのではないでしょうか。私自身も、以前はそう感じていました。

けれど、添加物が使われる背景を知っていくと、そこには私たちの暮らしを支えてきた、それぞれの理由があることが見えてきます。今日は、「なぜ使われているのか」を知ったうえで、「それでも自分はどう選びたいか」を考えるための土台をお伝えできればと思います。

食品添加物の法律上の定義

食品衛生法では、食品添加物は「食品の製造の過程において、または食品の加工もしくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するもの」と定義されています。ここでのポイントは、「製造」「加工」「保存」という目的がはっきりしていることです。何となく加えられているのではなく、それぞれに役割があるということです。

添加物は法律上、大きく4つに分類されます。

  • 指定添加物:厚生労働大臣が安全性を確認したうえで使用を認めたもの(合成・天然を問わない)
  • 既存添加物:長年の食経験があり、広く使用されてきた天然由来のもの
  • 天然香料:植物や動物から得られる、香りづけのための天然成分
  • 一般飲食物添加物:いちご果汁や寒天など、もともと食品として食べられているものを添加物として使うもの

「添加物」と聞くと化学合成品だけを思い浮かべがちですが、実際にはこのように天然由来のものも含まれた、幅広い分類になっています。

添加物が使われる、具体的な理由

日本食品添加物協会などの資料を参考にすると、添加物が使われる目的は、大きく次のように整理できます。

1. 食品を製造・加工するために必要なもの 豆腐をつくるときの「にがり」、パンをふくらませる「ベーキングパウダー」など、その食品そのものをつくるために欠かせないものがあります。

2. 食感や形を保つためのもの アイスクリームの乳化剤や、麺のかんすいなど、独特の食感やなめらかさを生み出すために使われます。

3. 色に関するもの 着色料や発色剤など、食品の見た目を保つためのものです。

4. 味に関するもの 甘味料、酸味料、調味料など、風味を整えるためのものです。

5. 栄養成分を補うもの ビタミンやミネラルなど、栄養を強化する目的で使われることもあります。

6. 品質を保つもの 保存料や酸化防止剤など、食品の劣化や微生物の増殖を抑え、安全に流通させるためのものです。

こうして並べてみると、添加物は「味をごまかすため」だけでなく、私たちが安全に、そして手頃な価格で食品を手にできる仕組みを、裏側から支えているものでもあることが分かります。

保存料がなかったら、何が起きるか

少し想像してみてください。もし保存料がまったく使われていなかったら、どうなるでしょうか。

食品はより早く傷みやすくなり、流通できる範囲や期間が大きく制限されます。実は、保存料の代わりとして、昔から塩や砂糖による浸透圧の利用、酢によるpHの調整、燻製による殺菌作用など、さまざまな知恵が使われてきました。現在使われている保存料の中にも、こうした伝統的な知恵の延長線上にあるものが少なくありません。

つまり、「保存性を高める」という目的自体は、大昔から人類が向き合ってきた課題であり、添加物はその歴史の中で生まれてきた技術のひとつだと捉えることもできます。

それでも私が「必要な分だけ」を考えたい理由

ここまでお伝えしてきたように、添加物にはそれぞれ理由があり、法律上の厳しい基準のもとで使用が認められています。この仕組み自体を、私は否定するつもりはありません。

けれど、「使われる理由があること」と、「自分がそれをどれだけ積極的に選びたいか」は、やはり別の問題だと私は考えています。

たとえば、同じ目的を果たす食品であっても、添加物に頼らずシンプルな原材料でつくられているものもあれば、多くの添加物を組み合わせてつくられているものもあります。どちらが絶対的に正しいという話ではなく、「自分は、毎日口にするものについて、どちらを選びたいか」という、個人の価値観の問題なのだと思います。

私自身は、毎日繰り返し飲むお茶については、できるだけシンプルな原材料で、その素材本来の特徴を感じられるものを選びたいと考えています。これは添加物を否定する立場ではなく、「毎日続けるものだからこそ、自分が納得できる形にしたい」という、私なりの選択です。

よくある誤解:「天然由来だから安心」とは限らない

もうひとつ、整理しておきたい誤解があります。それは、「天然由来の添加物は安全で、合成のものは危険」という考え方です。

実際には、天然由来であっても、摂取量によっては体に影響を及ぼす可能性がある成分は存在しますし、逆に、合成であっても長年の使用実績と厳しい安全性評価を経て認められているものもあります。「天然か合成か」ではなく、「どのような目的で、どれだけの量が使われているか」を見ることのほうが、実は本質的な視点なのです。

このあたりは科学的にとても奥が深いテーマなので、今後のシリーズの中でも折に触れてお話ししていきたいと思います。

今日からできる、小さな一歩

今日ご紹介した内容を踏まえて、次のようなことを試してみませんか。

  • 原材料表示を見たときに、「これは何のために入っているのだろう」と、目的を想像してみる
  • 「保存料(甘味料)」のように、添加物の後ろに用途名が書かれていることに気づいてみる
  • 天然由来か合成かだけでなく、「どんな役割を持っているか」に注目してみる

添加物への理解が深まるほど、原材料表示を見るときの視点も、少しずつ変わっていくはずです。

香詩乃のお茶づくりで大切にしていること

香詩乃のお茶は、明日葉、ドクダミ、イチョウ葉、ゴボウ、ハトムギといった素材を中心に組み立てています。これらの素材そのものが持つ風味や特徴を活かしたいという思いから、できるだけシンプルな原材料構成を心がけています。

添加物を使う食品づくりを否定するのではなく、「毎日飲むお茶だからこそ、私はこの形を選びたい」という、ひとつの考え方として受け止めていただければ嬉しいです。

おわりに

今日は、食品添加物がなぜ使われているのか、その理由と背景についてお話ししました。「余計なもの」ではなく、それぞれに役割があるということを知ることは、感情的に怖がるのではなく、冷静に選ぶための第一歩になると思います。

そのうえで、「自分は何を選びたいか」を考えていく。これが、このシリーズを通してお伝えしたい一貫したテーマです。

次回は「毎日摂るものだからこそ、添加物を考えたい理由」というテーマで、もう少し「毎日」という視点を深掘りしていきます。


【参考資料・出典】

  • 厚生労働省「食品添加物」(食品衛生法第4条第2項の定義、規制の概要)
  • 消費者庁「食品添加物」ページ(食の安全ポータル)
  • 公益社団法人日本食品添加物協会「食品添加物Q&A」
  • 一般財団法人東京顕微鏡院「食品添加物 各論(1)保存料」




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