【第2回】添加物、本当に気にしなくて大丈夫?

前回、「無添加」という言葉について、私の考え方をお話ししました。今回は少し視点を変えて、「そもそも添加物は、そんなに気にする必要があるものなのか?」というところから、一緒に考えてみたいと思います。

「日本は添加物大国」という言葉、聞いたことはありませんか

SNSやネットの記事で、「日本は添加物の認可数が世界一多い国」「だから日本の食品は危険」というような投稿を見かけたことはないでしょうか。私自身、以前この手の情報に触れて、正直なところかなり不安になった経験があります。

けれど専門的に学んでいく中で分かってきたのは、この「日本は添加物大国」という言い方は、実はかなり注意が必要な情報だということです。

日本ジャーナリズムの検証機関(日本ファクトチェックセンター)による確認でも、「食品添加物の認可数は日本が世界一」という主張は誤りであると結論づけられています。むしろ、比較の仕方によってはアメリカの認可数のほうが日本のおよそ2倍にのぼるというデータもあります。

なぜこのような食い違いが起きるかというと、国によって「食品添加物」の定義や分類の範囲がまったく異なるからです。日本では、化学的に合成された「指定添加物」だけでなく、長い食経験のある「既存添加物」、植物や動物由来の「天然香料」、いちごなどをジュースの着色に使うような「一般飲食物添加物」まで、広く「添加物」として数えています。分類を細かく分けているために、件数としては多く見えやすい、という制度上の事情があるのです。

つまり「件数が多い=危険性が高い」という単純な図式は、成り立ちません。これは、感情論ではなく、制度の仕組みを知れば分かることです。

だからといって「気にしなくていい」わけでもない

ここで、「じゃあ添加物は気にしなくていいんだ」と結論づけてしまうのも、少し早いと私は思っています。

大切なのは、「件数の多さ」ではなく、「自分が実際に、何を、どれくらい摂っているか」という視点です。

食品添加物の安全性については、内閣府に設置された食品安全委員会が、動物実験などの科学的データをもとにリスク評価を行い、その結果を受けて厚生労働省と消費者庁が、使用してよい食品や上限量などの使用基準を定めています。これらの基準は、国産・輸入を問わず、日本で流通するすべての食品に適用されています。

また、食品安全委員会は「一つひとつの添加物の安全性が確保されているとしても、様々な添加物を同時に摂取することによる複合的な影響はないのか」という、多くの人が感じる疑問についても、専門家による解説を公開しています。現時点での科学的な考え方としては、個々の添加物についてADI(一日摂取許容量)を十分に下回るよう厳しく管理されているため、通常の食生活の範囲であれば健康影響は起こりにくいと考えられている一方、あらゆる組み合わせのすべてを完全に検証し尽くすことは現実的に難しい、という研究上の限界があることも事実です。

「制度としては安全性が確保されている」ということと、「これから先も含めて100%解明されている」ということは、厳密には同じではありません。この違いを知っておくことは、感情的に怖がるためではなく、冷静に向き合うために大切なことだと私は思っています。

よくある誤解を整理してみましょう

ここまでの内容を整理すると、次のような誤解が見えてきます。

  • 誤解1:「添加物の数が多い国=危険な国」→ 定義や分類の違いによる見え方の差が大きく、単純比較はできません
  • 誤解2:「無添加食品なら安全、添加物入りは危険」→ 添加物にも制度上の安全基準があり、逆に無添加でも保存状態が悪ければ食中毒リスクが上がることもあります
  • 誤解3:「少しでも添加物を摂ったら体に悪い」→ 使用基準はADIを大幅に下回るよう設定されており、極端に怖がる必要はありません
  • 誤解4:「添加物のことは、気にしても仕方がない」→ 制度を知り、原材料表示を見る習慣を持つことで、自分なりの選び方は十分にできます

大切なのは、「怖がりすぎる」でも「まったく気にしない」でもなく、その中間にある「知ったうえで、自分の基準を持つ」という姿勢だと、私は考えています。

私自身がアトピーと向き合う中で感じたこと

私は長年、アトピーに悩んだ経験があります。皮膚の状態が不安定な時期には、「口にするものが、もしかしたら関係しているのかもしれない」と感じ、食生活を見直したいと思うようになりました。

もちろん、これは私個人の経験であり、すべての方に当てはまるものではありません。アトピーの原因は、体質や環境、生活習慣などが複雑に絡み合うもので、「これを食べたから治る」「これを避ければ改善する」と単純に言えるものではないと理解しています。

ただ、私の場合は、食生活を見直すという行動そのものが、自分の体と向き合うきっかけになりました。原材料表示を見る習慣がついたのも、この時期からです。「不安だから避ける」のではなく、「知りたいから確認する」という気持ちに変わっていったことを、今でもよく覚えています。

今日からできる、小さな一歩

今日お伝えしたいのは、「添加物をゼロにしましょう」ということではありません。現実的に、それはとても難しいことです。

代わりに、こんな小さな一歩から始めてみませんか。

  • ネットやSNSの「添加物は危険」という情報を見たとき、一呼吸おいて「これは何と比較しているのだろう?」と考えてみる
  • よく使う調味料や飲み物をひとつ選んで、原材料表示に何が書かれているか眺めてみる
  • 「無添加だから安心」「添加物入りだから危険」と決めつけず、まずは知ることから始めてみる

もうひとつ付け加えるなら、添加物の分類を知っておくことも、冷静な判断の助けになります。日本の添加物は、化学的に合成された「指定添加物」、長い食経験のある天然由来の「既存添加物」、香りづけに使われる「天然香料」、いちご果汁のように食品そのものを加工に使う「一般飲食物添加物」の、大きく4つに分けられています。原材料表示にカタカナや化学名が並んでいると身構えてしまいがちですが、それがどの分類に属するものなのかを知るだけでも、漠然とした不安が少し和らぐことがあります。すべてを覚える必要はありませんが、「知らない名前=危険な物質」と短絡的に結びつけないことも、今日お伝えしたい大切な視点のひとつです。

香詩乃が考える、ちょうどいい距離感

私は、添加物を頭ごなしに否定する立場は取りません。制度としての安全性の仕組みがあることは理解していますし、それを支えている研究者や行政の努力も尊重したいと思っています。

そのうえで、毎日繰り返し口にするお茶については、「できるだけシンプルな原材料で、私自身が納得できるもの」を届けたいという思いから商品づくりをしています。これは「添加物が危険だから」ではなく、「毎日続けるものだからこそ、必要のないものは、できる範囲で減らしておきたい」という、私自身の選択です。

おわりに

「添加物、本当に気にしなくて大丈夫?」という問いに対して、今日の私なりの答えは、「怖がりすぎる必要はないけれど、知らないままでいるのはもったいない」というものです。

正しい情報を知ったうえで、自分自身がどう選びたいかを考える。そのための第一歩を、今日、一緒に踏み出していただけたら嬉しく思います。

次回は「食品添加物はなぜ使われるの?」というテーマで、添加物が使われる具体的な理由について、もう少し詳しくお話ししていきます。


【参考資料・出典】

  • 日本ファクトチェックセンター「食品添加物の認可数は日本が世界一?【ファクトチェック】」(2025年更新)
  • 消費者庁「食品添加物」ページ(食の安全ポータル)
  • 内閣府食品安全委員会「食品添加物は危ないの?複合的な影響は?」




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