【第1回】なぜ香詩乃は「無添加」にこだわるのか?
こんにちは、香詩乃です。
いきなりですが、少し想像してみてください。
今朝、あなたが口にしたもの——お茶、パン、ヨーグルト、調味料。 その原材料表示を、今すぐ思い出せるでしょうか。
「そう言われると……あまり覚えていないかも」
そう感じた方は、決して珍しくありません。むしろ、それが自然なことだと思います。私たちは毎日、何十種類もの食品を口にしていて、そのすべてを細かくチェックしながら生活するのは現実的ではないからです。
でも、だからこそ、私はあるとき立ち止まって考えるようになりました。
「毎日、当たり前のように口にしているものについて、私はどれくらい知っているのだろう」と。
今日は、私が「無添加」というものにこだわるようになった理由、そしてその考え方の背景にあるものについて、できるだけ丁寧にお話ししたいと思います。
「無添加」という言葉に出会う前の私
私はもともと、食品添加物や原材料について、特別に詳しいわけではありませんでした。忙しい毎日の中で、値段や見た目、なんとなくの安心感で食品を選ぶ、ごく普通の消費者のひとりでした。
けれど後ほどお話しする体調の変化をきっかけに、「自分が日々口にしているものが、自分の体をつくっている」という、当たり前でありながら見落としがちな事実に、あらためて向き合うことになりました。
そこから、漢方養生指導士、和漢薬膳師、メディカルハーブカウンセラーといった学びを重ねる中で気づいたのは、「体に良いものを足す」ことと同じくらい、「体に必要のないものを、できる範囲で減らす」という視点も大切だということでした。
「無添加」へのこだわりは、この「減らす」という発想の延長線上にあります。
食品添加物は、そもそも何のためにあるのか
ここで誤解のないようにお伝えしておきたいのですが、私は「食品添加物イコール危険」とは考えていません。これは科学的にも一括りにできる話ではないからです。
食品添加物には、食品の保存性を高める、色や風味を保つ、食感を整えるなど、それぞれに使われる理由があります。長期保存が必要な流通の仕組みや、価格を抑えた食品づくりを支えているのも事実です。
日本では、食品添加物を新しく使えるようにする際、内閣府の食品安全委員会が動物実験などのデータをもとに「NOAEL(無毒性量)」を調べ、そこに人と動物の種差や個人差を考慮した安全係数(通常100)で割ることで、「一日摂取許容量(ADI)」という数値を算出します。ADIとは、人が一生涯にわたって毎日摂取し続けても、健康への悪影響がないと推定される一日あたりの摂取量のことです。
厚生労働省は、このADIを大幅に下回るように、食品ごとの使用基準を定めています。さらに、実際にスーパーで売られている食品を購入して添加物の含有量を分析し、国民一人あたりの摂取量がADIを超えていないかを継続的に調査する仕組みもあります。
つまり、「制度として安全性が確認されている」というのは、憶測ではなく事実です。私はこの仕組み自体を否定するつもりはありません。
それでも私が「できるだけ減らしたい」と思う理由
ここが、今日いちばんお伝えしたいところです。
「制度上、安全と評価されていること」と、「自分自身がそれを積極的に選びたいかどうか」は、実は別の問題だと私は考えています。
ADIという数値は、あくまで「その添加物単体を、その量まで摂り続けても問題が出ないと推定される」という基準です。けれど私たちが実際に口にしているのは、ひとつの添加物だけではありません。多種多様な食品を通じて、さまざまな添加物を組み合わせて摂取しているのが現実です。この「複数の添加物を同時に、長期間、組み合わせて摂り続けた場合」について、すべてが科学的に解明されているとは言い切れません。この点については、現時点で明確な結論が出ていない部分がある、というのが正直なところです。
だからといって「危険だ」と断定することは、私にはできません。それは科学的な態度ではないと思うからです。
けれど、「よくわかっていない部分がある」のであれば、毎日繰り返し口にするものについては、「必要のないものは、できる範囲で減らしておきたい」——これが、私の個人的な選択です。これは「みなさんもそうすべきだ」という主張ではなく、あくまで私自身の考え方だとご理解いただければと思います。
よくある誤解:「無添加」は魔法の言葉ではない
もうひとつ、お伝えしておきたい誤解があります。
「無添加と書いてあれば安心」というのは、実はそう単純な話ではありません。「無添加」という表示は、何が入っていないかを示すだけで、何が入っているかを保証するものではないからです。たとえば保存料が無添加でも、他の添加物が多く使われている場合もありますし、そもそも「何に対して無添加なのか」が曖昧な表示も少なくありません。
このあたりの表示のルールについては、次回以降のテーマで詳しくお話ししていきたいと思います。今日は「無添加=完全に安心、というわけではない」ということだけ、心にとめておいていただければ十分です。
もうひとつ、意外と知られていないのが、「無添加」という言葉自体には、法律上の統一された明確な基準がまだ十分に整っていなかった時代が長く続いていたという点です。近年は消費者庁が食品表示基準の運用を見直し、「無添加」「不使用」といった表示について、根拠のない強調表示を避けるよう事業者に求める方向で整理が進められています。こうした背景を知っておくと、「無添加」という三文字だけを見て安心するのではなく、「何が、なぜ無添加なのか」まで確認する習慣が、より大切に感じられるのではないかと思います。
今日からできる、小さな一歩
難しい話が続きましたが、今日からできることは、実はとてもシンプルです。
- 今、家にある調味料や飲み物をひとつ手に取って、原材料表示を眺めてみる
- 知らない名前の原材料があったら、「これは何のために入っているのだろう」と考えてみる
- 「無添加」と書いてあっても、原材料表示全体にも目を通してみる
これだけです。すべてを完璧に管理する必要はありません。まずは「見る」という習慣を持つこと。それだけで、食品との向き合い方は少しずつ変わっていきます。
香詩乃がお茶をつくるときに大切にしていること
私自身がこうして「知ったうえで選ぶ」ということを大切にしてきたからこそ、自分がつくるものについても、同じ姿勢を貫きたいと思うようになりました。
毎日飲むものだからこそ、私は「何となく選ぶ」のではなく、何が入っているのかを自分自身が納得できるお茶をつくりたいと考えています。原材料をシンプルに保ち、それぞれの素材が持つ特徴を大切にすること。それが、香詩乃のお茶づくりの出発点にある考え方です。
具体的な商品やブレンドの考え方については、これから始まるこのシリーズの中で、少しずつご紹介していきたいと思っています。
おわりに
「添加物は怖いから避けましょう」という単純な話をしたかったわけではありません。むしろ私がお伝えしたいのは、「知らないまま何となく選ぶ」のではなく、「知ったうえで、自分の意思で選ぶ」という姿勢の大切さです。
毎日、何気なく口にしているものだからこそ、ほんの少し立ち止まって考える時間を持ってみませんか。
次回は「添加物、本当に気にしなくて大丈夫?」というテーマで、添加物との向き合い方についてもう一歩踏み込んでお話しします。
【参考資料・出典】
- 内閣府食品安全委員会事務局「食品添加物のリスク評価」
- 厚生労働省「食品関係用語集(許容一日摂取量(ADI)、無毒性量(NOAEL)等の定義)」
- 厚生労働省「マーケットバスケット方式による食品添加物の一日摂取量調査」
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